最後に、堀江社長がこれから実現したいビジョンについて教えてください。
杉玉を日本一の寿司居酒屋にすること、これにつきます。日本一というのは店舗数や売上ではありません。もちろん中身を充実させるためには数も大事な側面ではありますが、お客様に心底楽しんでいただける店として日本一を目指したい。
その理由を伝える前に、20年以上前の話をさせてください。スシローに家族で行ったときにトラックドライバー募集の張り紙を見つけ、当時はアルバイトとしてこの業界に関わりました。ちょうど新卒で入った生命保険会社を退職後で、次の転職先を決めるまでのつなぎのような気持ちだったんです。アルバイトで働くうちに、何度か正社員にならないかと誘いを受けたのですが、私は入社するつもりはさらさらなかったので、声がかかる度に断っていました。
そんな私がここで働きたいという気持ちに変わったのは、後に社長となった元上司の言葉が響いたからです。
どんな言葉ですか?
「日本一を目指しているから一緒にやってもらえないか」
その一言は、正直しびれましたね。それで金髪で長髪だった髪をバッサリと切って丸坊主にして、翌日には「お世話になります」と。
その後、上司のもとで仕入れ担当としてネタの目利きやモノづくりの考え方をひたすら学ぶ日々。自分で仕事ができるようになるまでにかなり時間はかかりましたが、学ぶことや仕事をすることが楽しくて仕方なかった。そうしているうちに、自分から見える景色が変わったという瞬間を何度も味わうことができました。だから、今度はそういった楽しさを今の社員のみんなにも経験してほしいと願っているのです。
そのために堀江社長が挑戦していきたいことは何ですか?
会社としては、“うまい、安い、楽しい”というコンセプトを徹底して磨き上げていくこと。コンセプトにある楽しいはお客様に対してだけではなく、ここで働く人にとっても楽しい職場でありたいと思っています。働く人の“楽しい”とは、できないことをできるために考えて行動したり、苦労を重ねる中で喜びや成長を感じられたりすることも含みます。
例えば、飲食業をしているとお客様がたくさん入る忙しい時間帯がありますよね。そのときに、この人がいれば大変な時間帯でもピンチでなくなるという人を私は何人も見てきました。こういう人たちは、仕事を楽しんでいることが多く、今は幹部メンバーになっていたりします。仕事に邁進して楽しんで成長していくことは、評価されることにも自然とつながっていきますよね。
今、社長である私ができることは、自分が経験して感動したことやビジョンを、みんなに熱を持って伝えること。そして楽しく仕事をするからこその景色を見られる環境を用意することかなと思っています。