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インタビュー

人は楽しいときに、成長できる。
「できないを、できるに変えるチャレンジ」を楽しむ“個性”を求めたい

この記事に登場する人

株式会社FOOD & LIFE INNOVATIONS

代表取締役社長

堀江陽

2000年03月 保険会社勤務を経て、アルバイトとしてスシローの物流トラック運転手を経験した後、株式会社 あきんどスシロー 入社
2012年04月 株式会社 あきんどスシロー 仕入部長
2016年10月 株式会社 あきんどスシロー 取締役執行役員 商品本部長
2019年10月 株式会社 あきんどスシロー 代表取締役社長
2022年04月 株式会社京樽 代表取締役社長
2023年10月 株式会社FOOD & LIFE INNOVATIONS 代表取締役社長
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人は楽しいときに、成長できる。「できないを、できるに変えるチャレンジ」を楽しむ“個性”を求めたい

「おいしいものを食べているときに、人は笑顔になる」
「楽しんで働いているときに、人は成長する」

そのように語る、株式会社FOOD & LIFE INNOVATIONS(以下「F&LI」という)代表取締役社長の堀江陽さん。

F&LIは、回転すし「スシロー」などを展開する株式会社FOOD & LIFE COMPANIESから誕生し、寿司に合う地酒を種類豊富に取り揃えた「鮨 酒 肴 杉玉」などを展開。お客様を喜ばせる仕掛けを随所に取り入れ、現在「杉玉」は国内80店舗以上、海外にまで急成長を遂げています。
(堀江社長は2022年4月「お持ち帰り鮨 京樽」などを運営する株式会社京樽の社長に就任し、現在はF&LIの社長と兼任)

今回は堀江社長に、F&LIの事業の強みや課題、働くことで得られる面白さなどを伺いました。

当社グループの強みと
“杉玉らしさ”を大切に

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2023年に杉玉を運営するFOOD&LIFE INNOVATIONSの社長に就任されました。まずは、その背景から教えてください。

実は今から約6年前、私は杉玉の立ち上げに関わった一人でした。当時、焼き鳥をメインにした居酒屋チェーン店が流行していて、私たちの強みである寿司を主役にした“うまい、安い、楽しい”をコンセプトにした居酒屋をつくりたいという思いから事業がはじまったのです。

私自身は「あきんどスシロー」や、その後は「京樽」の代表を務めていたので、創業後は杉玉の事業に携わっていませんでしたが、その間に事業は成長し、2023年10月にこちらの代表も兼任してほしいと声がかかったのです。

立ち上げに関わっていた杉玉に改めて関わることになり、これからどのような事業にしていきたいとお考えですか?

私はプライベートの時間でも「今日は何を食べに行こうかな」と考えることに幸せを感じるタイプです。趣味は外食と言っていいほどの人で(笑)。だからこそ、どうすればお客様に喜んでもらえるかと常にアンテナを張っています。「杉玉へ行きたい!」と数ある飲食店の中から選んでいただき、笑顔で楽しい時間を過ごせるような店にしていきたいと考えています。

そのために大事なのは、人の成長であり、働く人が楽しめる環境づくりだと思っています。

人の成長や楽しめる環境が大事だと。その上で、堀江社長が感じる御社の強みや課題があれば教えてください。

飲食業界にも大きな影響があったコロナ禍を経験しながらも、試行錯誤を重ねて直営店とFCで店舗数を急拡大できたことは、当社グループとしてのバックボーンがあったことも大きな要因です。事業を展開していく上で、多大なノウハウが既に構築されているので、時代や社会のニーズに柔軟に対応できることは事業としての強みです。
その反面、課題としてはグループ組織の軸がしっかりしているだけに、事業が拡大するに連れて型にはまり過ぎてしまう可能性があること。FOOD&LIFE INNOVATIONSという社名の通り、イノベーションを生み出すために、代表の私自身がより良い店にしたいという熱量を社員のみんなに伝えていくことが、今求められていることでもあります。

楽しくて没頭しながら働いた先に成長がある

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熱量を伝えていく上で、堀江社長ご自身は“仕事”をどのように捉えていますか。

飲食業のおもしろさは、お客様に「おいしかった」と喜んでいただけることに尽きます。

杉玉で働いているみんなも「おいしかった」「また来ますね」という言葉をいただけることに喜びや、やりがいを感じていると思います。

私自身も今まで、仕事に心底没頭して楽しくて仕方ないときが多々ありました。そして振り返ってみると、没頭したあとに成長を実感できたのです。その経験から、人は楽しいときに成長していくものだと確信しており、杉玉でも楽しく働ける環境をつくることは社長である私の重要な仕事だと思っています。

そのためにも、杉玉はどんなことを社員やこれから入社する方に求めたいですか。

ときには遊び心を持って、いろいろなことにチャレンジする個性を求めています。

型からはみ出し過ぎるチャレンジをしたときは私が受け止めるので、どんどんいいと思ったことに挑戦してほしい。社員一人ひとりのカラーをもっと打ち出すことが、より良い会社になるのだと信じているので。

私はよく例えて言うのですが、店長でも副店長でも野球で言うところのピッチャーとキャッチャーのような自分にあった役割を意識することが活躍するために必要だ、と。投げることが好きなタイプにキャッチャーに回ってもらうのではなく、投げることに専念してほしいし、飲食業でも好きや得意を活かした役割を意識してほしい。それが杉玉らしさにつながるのではないかと思っているからです。

全てのことに目が届くオールラウンダーが望ましいことや、企業としてそういった方を増やしていくことの重要性ももちろんわかっています。しかし、何でも平均的にできる方だけでなく、ガッツがあって個性の光る人が活躍できる会社でありたいですね。

社員一人ひとりの個性を活かして自由に挑戦できる環境が大事だ、と。

そうですね。ただ、何でもやっていいと言うだけだと、逆に挑戦するのが難しかったりします。そこで、私は「杉玉らしさ」を再定義しました。いわゆる経営理念や行動指針となる言葉であり、この軸を意識しながらチャレンジしてほしいと思っています。

具体的にはどのような言葉なのでしょうか。

まず、杉玉らしさとは「お客様とメンバーを笑顔にするために挑戦を惜しまず、笑顔を通じて成果を生み出すこと」です。これを実現するための行動指針は、わかりやすくまとめると「元気な声であいさつしよう」「教科書以上を考えよう」「できないをできるに変えよう」「自分ごととして捉えよう」「もったいないで無駄をはぶこう」など。言葉にすると当たり前のことばかりかもしれませんが、やっぱり大事にしたいことなんです。

特に、「できないを、できるに変えよう」は意識してほしいことです。私はネタの仕入れ担当をしていたことがあるのですが、良い素材を高く買うことは誰にでもできること、良いものを安く買い安く提供するという一見できなさそうなことができたときにお客様の感動が生まれました。

これは全ての仕事に当てはまります。困難なことがあったときに、できないと諦めるのではなく、できるようにするための努力を惜しまないこと。そんな姿勢がある人には杉玉はもってこいの職場になるはずです。その先には人としての成長がきっとあるので。

杉玉を
「日本一の居酒屋」にするために

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最後に、堀江社長がこれから実現したいビジョンについて教えてください。

杉玉を日本一の寿司居酒屋にすること、これにつきます。日本一というのは店舗数や売上ではありません。もちろん中身を充実させるためには数も大事な側面ではありますが、お客様に心底楽しんでいただける店として日本一を目指したい。

その理由を伝える前に、20年以上前の話をさせてください。スシローに家族で行ったときにトラックドライバー募集の張り紙を見つけ、当時はアルバイトとしてこの業界に関わりました。ちょうど新卒で入った生命保険会社を退職後で、次の転職先を決めるまでのつなぎのような気持ちだったんです。アルバイトで働くうちに、何度か正社員にならないかと誘いを受けたのですが、私は入社するつもりはさらさらなかったので、声がかかる度に断っていました。

そんな私がここで働きたいという気持ちに変わったのは、後に社長となった元上司の言葉が響いたからです。

どんな言葉ですか?

「日本一を目指しているから一緒にやってもらえないか」

その一言は、正直しびれましたね。それで金髪で長髪だった髪をバッサリと切って丸坊主にして、翌日には「お世話になります」と。

その後、上司のもとで仕入れ担当としてネタの目利きやモノづくりの考え方をひたすら学ぶ日々。自分で仕事ができるようになるまでにかなり時間はかかりましたが、学ぶことや仕事をすることが楽しくて仕方なかった。そうしているうちに、自分から見える景色が変わったという瞬間を何度も味わうことができました。だから、今度はそういった楽しさを今の社員のみんなにも経験してほしいと願っているのです。

そのために堀江社長が挑戦していきたいことは何ですか?

会社としては、“うまい、安い、楽しい”というコンセプトを徹底して磨き上げていくこと。コンセプトにある楽しいはお客様に対してだけではなく、ここで働く人にとっても楽しい職場でありたいと思っています。働く人の“楽しい”とは、できないことをできるために考えて行動したり、苦労を重ねる中で喜びや成長を感じられたりすることも含みます。

例えば、飲食業をしているとお客様がたくさん入る忙しい時間帯がありますよね。そのときに、この人がいれば大変な時間帯でもピンチでなくなるという人を私は何人も見てきました。こういう人たちは、仕事を楽しんでいることが多く、今は幹部メンバーになっていたりします。仕事に邁進して楽しんで成長していくことは、評価されることにも自然とつながっていきますよね。

今、社長である私ができることは、自分が経験して感動したことやビジョンを、みんなに熱を持って伝えること。そして楽しく仕事をするからこその景色を見られる環境を用意することかなと思っています。
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